1986 年 39 巻 2 号 p. 113-120
99mTcレニウムコロイドを用いたリンフォシンチグラフィー後の手術切除材料を用い,直腸局所リンパ節でのTc-99mの取り込み塗測定することにより,下部直腸リンパ流の検討を行つち症例は大腸癌12例で,手術前日歯状線より1~2cm口側の直腸粘膜下層に99mTc 1 mCi,1mlを注入した.切除されたリンパ節は大腸癌取扱い規約に準じて分類し,その重量と放射性活性を測定した,結果は次のようであった.1)一次リンパ節に104cpm/mg以上の集積を認めない,跳躍的集積を示した症例が25%あった.2)側方向リンパ節では上方向リンパ節と比べ,同等ないしそれ以上の強い集積度を示すものが多く,下部直腸における側方向リンパ流の重要性が示唆された.3)側方向リンパ節のうちでは膀胱下腹筋膜外側のリンパ節群が数および集積度の強さの上で側方向リンパ流の主力と考えられた.
上方向および側方向リンパ流について自律神経との関連を中心に考察を加えた.